山登りが好きなこども達  みんなの保育日記*みずほの巻

2009年11月一本のメールが届いた。

「私はこどもたちと山を登る活動をしています。

ついては、ひだまり保育園を一度見学させてください」というような内容。

登山ガイドとして生計を立てている女性からで

当時、山を歩くことをもう少し深く充実させたいと思っていた私は

彼女からの申し出に飛びついた。

それから、はじめは実習として

後にはパートの職員としてひだまりに関わり続けてくれているみずほちゃん。

その年の2月~3期生の卒園登山に一緒に登ってくれてから

ずっとひだまりの年長の登山をサポートしてくれてきた。

2014年からは、

春から計画的に、年長が山を歩くことを年間通して行っており

彼女には「登山ガイド」として力を発揮してもらっている。

下の写真は、その年間通しての山登りの第1回目。

西区の三滝山に登った8期生と 双子岩でのショット。

たつのこ山登りというLINEグループのアイコンになっている。 



ひだまりのこども達は不思議と「山登り」が好きだ。


2014年から本格的に

年長さんの登山をサポートさせていただいているが、

年を追うごとにこども達の間で

「山登り」=「イイモン」の図式が育って来ていて

もはや文化に近い。


登山をする人間としてそれは嬉しいけれど、

なんでこの人たちは

こんなに手放しで山登り好きなんかなーと毎回不思議に思っている。 


 それで最近、

もしかしてこういう理由かな?と思う場面を見かけた。 

こども達がゴム風船を膨らませることがあった。

ゴム風船は大人もご無沙汰するとうっかり膨らませられずに焦らされることがある。

それくらい日常あまり使わない筋肉を使うし独特のコツがいる。

こども達にはかなりのチャレンジだ。

当然、難しい子もいる。

 途中から大人が手伝っても良いことになったのだが、

大人に助けを求めても良いのに言って来ない二人がいた。

意固地になっているわけではなくて、

なんとか自分で膨らませようと地道にあれこれ頑張っているのだ。

つられて思わず私も

「こうやって、こんな感じで」

と膨らませる見本を見せると、

それも参考にしながらまた必死で頑張っている。


はじめちっとも膨らまなかったその二人は、

時に柱で自分の体を支えたりしながら

遂に「風船に息を吹き込んで膨らませる」まで到達してしまった。 


 実はこの二人は乳児からの入園で保育歴が長い。

比較してしまうので申し訳ないが、

この時、入園したてのこどもらは

あっと言う間に「みずほ、やって」と風船を私に差し出していた。


誤解のないように伝えたいのだが、

これはこどもの力の是非を議論したいのではない。

私はそこに、ひだまり保育園の保育を見たように思ったのだ。 

 ひだまり保育園のこどもたちは

「自分はきっと出来る。大丈夫。」という自分への信頼や

「出来るかもしれん」という物事を前向きに捉える力が強い。


それは0歳児クラスの時から始まっていて

保育歴が長ければ長いほど積み重ねられ

確かなものになっているようだ。


そこにはひだまりの先生たちの

「こういうこどもを育てたい」

「平和な社会を実現するためには我々人はどうあるべきか」

などと言った明確で深い想いを背景とした、

地道なこども達への働き掛けがある。


 最近「自然保育」という言葉が巷で聞かれるようになり、

こどもを自然の中で自由に遊ばせることを主体に、

大人は見守って保育しようという活動がちらほら見られ、

また自治体がこれに助成する動きがあったりするが、

「自然」=「保育」じゃないんだよなーと、

そこそこ長い年月 山に登り続けている私は思っている。


自然物である人間の発育発達に自然が良いのは

直感として当然だと思うし、

自然環境で保育するのは、私も正解だとは思うけれど、

「保育」というのはどちらかというと「人の関わり」だ。


狼が狼を育てるように、

人を育てることが出来るのは

(ヒト以外の自然物ではなく)

人しかいない。 


 ひだまりは泥んこや里山での散歩を大事にしたり、

食事も無農薬や有機野菜にこだわったりと

こども達を取り巻く環境が整えられているが、

「自然に任せて」それで終わりではない。


保育のアカデミックな知識と

独自の研鑽に支えられた保育理論、

こどもを見る深い洞察があり、

人として自らの主張を持ちながらも他者を尊重して折り合える、

平和を希求する しなやかで強いこどもたちを育てるのだという

明確な目標のもと、


大人は人としてこども達にガンガン関わり、

人の「より良き文化」を伝えようとしている。


だがら0歳児でも「人として」ちゃんと叱られる。

そういう意味で、

ひだまり保育園の保育は決して「自然保育」ではない。 


 さて登山。

なんでひだまりのこども達は手放しで登山が好きなのか。 

登山はジブンの体を使ってでーっかく移動して、

雲がぶつかるくらいにたっかーい所に上がって、

そっから見える世界を見てみよう!っていう、

単純かつスケールの大きな遊びだ。

スピードは関係なくて、

こつこつ歩いていけば必ずゴールにたどり着ける。

そんな魅力的で面白い遊び。 


「やってみたら出来た」

「出来るまでやったら出来る」を積み重ねてきたこどもらにとっては、

山登りは

「もっと大きなジブンに出逢えるかもしれん!」という

素敵な冒険あそびに見えるのかもしれんなあ。


そしてそんなジブンっていう自然が大好きになれたら、

同じ仲間である他の自然のことも

「あなたたちもやっぱり素敵ね」て思えるかもね。


 なんとなく、

ひだまりのみんなが山登りが好きな理由がわかった気がしたこの頃です。 



ついついストイックにこどもと歩いてしまう

私たち職員も

みずほと、それから広島登山研究所の松っさんと一緒に歩くと

山はたのし~~!

山はおもしろい~~!と思えるから

ほんとにみずほには感謝でいっぱい♪


今週は2本の記事をupします。

もう1本の記事は こちら


こちらもご覧下さい~~♪

ひだまり保育園*安藝里山保育

広島市の東の端っこ 矢野 にある 認可外私立保育園です。 民家を利用して、 40人程度の小集団で暮らしています。

0コメント

  • 1000 / 1000