ハイハイを大事にしたいわけ
昨日Twitterで連投した「ハイハイ」について。
ひだまりで毎日リズムあそびをしていることと
深く関わる内容ですので、ここに加筆・再掲します。
私が保育でハイハイを大事にしているのには、いくつもの理由があります。そのなかで他の方が書かれているのをまだ目にしてない理由に「交互性と交差性」が促されるという点あります。
人は左と右・上と下の四肢を様々に組み合わせて動作を行います。肘だけみても曲がる角度は左右で違います。
人の体は左側は固める動き・右側は膨らませる動きが得意という特徴を持っています。また頚や腰の座りかた、環境などによって体の使い方に癖が出てくるのはご存じの通り。
これは0才の赤ちゃんでも当然起こることです。もって生まれた体の状態・筋肉が柔らかいとか神経系による筋緊張が強いなどもありますね。
ハイハイをしづらい場合には、様々な要因を検討します。
神経の麻痺によって動きづらい子や、
自分の体をどう動かすかプランを立てる力が弱い子、
触覚の過敏のあまり手のひらや足の裏が床につくのが嫌な子、
筋力が弱い子、
自宅が狭く歩行器や揺り椅子などに入れられ
這うという経験がほぼ皆無
一言でハイハイをしなかったといっても
理由は多岐にわたります。
そうした個々の基礎条件が、
その子の得意な動き・不得意な動きをつくっていきます。
そのこと自体はなにも悪いことではありません。
大切な経験でもすっとばして成長したのなら、
登山でも体幹トレーニングでもして鍛えればいいわけです。
では、なぜ園ではそのままで放っておかないのかという事ですねぇ。
そこで冒頭に書いた
交互性と交差性が大事になるわけです。
右左右左と腕同士、足同士を交互に動かし続ける。
左右を同じように使っていくこと。
それから、上半身と下半身を連動させて動くこと。
右手と左足、左手と右足と動かす部分が交差することによって、
自分の体がどう動いているのかを把握する力が育ちます。
こどもに後ろに進むハイハイをさせてみると、
驚くほど手足の動きがぎこちなくなります。
ハイハイは単純な動きだと思っていたら大間違いなのです。
頭をあげ(つまり頚で重たい頭を砂さえ続け)
腕でそれをささえ、
掌で床の状態を把握し、
腹筋と背筋をバランスよく緊張・弛緩させて腰をあげ続け
膝にかかる自重に耐え、
足指を曲げ
(筋緊張が強いと足指に力が入っているため、
指を曲げて握り込むことが普通になり、
足の甲側に上がりづらくなる)
床をけって進む。
しかも交互に交差させて。
これだけのことを、ほんの一瞬のうちにプランニングして
具体的に筋肉に命令を出し続ける。
幼いこどもたちにとって、
ハイハイはとても大変な動きです。
それだけに育ちに凸凹があるとこぼしやすいのです。
そして体の育ちや認知の育ちに凸凹がある子達は、
なぜか試行錯誤を避ける傾向があります。
やってみて難しい経験をすると、
パッと手を引いてしまうし、
よく覚えていて
次から二の轍を踏まないようにすることが多いように感じます。
一度ハイハイしてみて膝が痛かった場所なら、
次はだっこを要求するとかね。
私は保育を通してそういう子達には、
繰り返し交互運動上半身下半身が交差する運動をしていくこと。
またゴールの手前で終わらせず、
しっかりゴールにタッチする
つまり、
活動のはじめと終わりをくっきりさせていく。
これを大切にしています。
こうした活動を続けることで
少しずつこどもに変化が生まれるのを感じてきました。
実際ハイハイはハードだよ。
でも、実際は
一度歩き始めた子をハイハイに戻すなんて現実的じゃありません。
凹があるからその子はハイハイをすっとばしてるんだから、
這えっていったってやれないからしてないんですもの。
でも、
こんなに大事な力を育ててくれるハイハイをしないのは
もったいないと思うのです。
というわけでうちの園では、
リズム遊びという時間を毎日設定し、
園児全員が毎日ハイハイをしています。
いわゆる四つ這い・高這いに加え、
この頃は
後ろ這い・背中をゆるめてうねらせながら這う
なども行って積極的に這っています。
当たり前かも知れませんが
入園当初はどの子も這うのが大変そうです。
入園して1年経ってる子は同じ歳でもしっかりと這う。
やったらやっただけのことがあって、
そのへなへな這いの子も経験を重ねていくなかで
1年後立派に這うようになっていく姿があります。
そうだ!そして肝心なのは「楽しくやる」ってこと。
いくらこどもが育つ動きでも訓練じゃ効果は半減だよね。
大笑いしながら、
自分がハイハイするように大人に仕込まれてるなんて
微塵も感じないような楽しい活動で
どんどん這っていくチャンスを増やしたい。
そんな風に思っています。
(山登りでは自然とタテ方向にハイハイしますね)
この項ではふれていませんが
ひだまりで大事にしているハイハイの中には「わに」と言われるものもあります。
これは、赤ちゃんが一番最初にやるハイハイの形で
実はとっても大事だと思っています。
これは、またいつか記事にしたいと思います。
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