俺もできた!魂の喜びを手渡したい。
その子は白米しか食べないということで転園してきました。
お散歩の時に手をつなぐことができない。
集団行動をとることができない。
保護者さんは、ひだまりに入ってもこの子を本当に受け入れてもらえますか?
と私に尋ねられました。
「もちろん 何の問題もありません」とお答えし
その子はひだまりのなかまになってくれました。
入園して2日目。初めての給食。
なのに担任である私(エンチョーダンジョー)はコロナに罹患して欠席。
それでもこの子は雑穀米をぱくぱく食べたのです。
…白米しか食べられんのじゃなかったん?…
野菜も食べないというふれこみ(?)だったのに
ひじきだって、
レンコンステーキだって、
高野豆腐だって食べています。
確かに青菜など苦手なものもありますが、
それでもご飯と一緒に食べたり、
半分ずつにしたりしながら食べていくので、立派なものです。
しかし…ある日の白和えには最初から強い抵抗。
まず口に入れない。
「じゃあごちそうにしんさい」というと、
いつもなら「やだ たべる」と言って気持ちを切り替えるのに
その日はさっさとランチョンマットを片付けてしまい、
ふわ~と部屋の中を歩き始めました。
そして行き先はデザートのキウィの入ったお皿。
「おしまいだから食べる」と…。
いやいや、そんなことはできません。
ランチョンマット取ってきて!と言われ渋々座るものの、
白和えは超絶かたくなに拒否。
手で口を覆ってしまいます。
でも…これまで白和え食べてるんです。
初めてのものや、いろんな具が混ざっている場合は、
「これはなあに?」と訊いてくるし、
私も「これは豆腐ときくらげ、小松菜、人参、こんにゃくが入ってます。ごまの味がします」
というように説明すると食べられるのです。
これはtwitterでの集合知で知ったのですが
白米しか食べられなかった人たちが、
幼い頃の気持ちを書いてくれているのを読むと
「何が入っているのか分からないものが怖い」
「毎回 配分とか違うと味が違ってしまうので、別の料理を食べる感覚」
「白米・素うどん・食パンは、その味しかないから安心だった」
ということでした。
なるほど。ならば、 具材や調味料を伝えてみよう と
この方法を始めたのが今から8年位前。
献立表を準備する関係で 食材はよくわかる!ので
そんな風に伝えられるのです。
が、その日はそれをしても拒否。
転園してきて1ヶ月。
「ジブンでするの」ということが増えてきたので
「檀上がする?○○が自分でする?」と問うと、
「檀上がする」とか「自分で」とか言って勇気を出すようになってきました。
しかし、その日はそれも泣き声で返事して動かない。
う~~~どうしたものか。
刻々と時間は過ぎ、
12:20絵本を読む時間になってしまいました。
そこで、私は絵本を取りに行き、
その子のランチョンマットの上から食器を片付け、
1つの豆皿にフォークを置いて、
その上にほんの少しの白和え(ただし全部の具材が入っているように)
と
ご飯をのせておき、
その子の隣の椅子に座って背中を向け絵本を読み始めました。
すると、
十秒もしないうちに、
パクリと自分で口に運びあっという間に食べてしまいまったんです。
え?
とうれしいびっくりで一瞬止まってしまった私。
泣いて泣いて嫌がる姿をみると
さすがに私も、
ここまで拒否するんだから食べさせなくてもいいんじゃないか
という気持ちがなかったわけじゃありません。
でも、その子はこれまで「できない自分」を
これでもかというほど味わってきました。
でもね、こどもって…いや人間って誰でもどんな人でも
「出来る自分」を実感したいもんですよね。
だから、食べたくないものを食べなくて済むのは楽ちんだけど、
でもその子には「食べられなかった自分」が残る。
そこはやっぱりほんの数グラムでも「食べられた自分」を手渡したい。
そう思ったのです。
「苦手なんだから食べなくてもいいよ」は、
その子の魂が喜ばん。
こんなにイヤだけどほんの一口だけど食べられた!
という魂の喜びを渡したい。
食べ終わったらサッと着替えに立ち上がったその子。
お昼寝の布団で、
「もう~どうせ食べられるんじゃけ、あがあに言いんさんなや」
と笑いながら言う私に
ニヤニヤして目を合わすその子。
もちろん出来ないことを要求するのはいけんし、
その子が青菜が苦手なのもホントなんだから、そ
の苦手や嫌いを無視していいとは思っていません。
でもね、これまで白和え食べてきてますから。
出来ることだけど、今日はイヤだの歯車が回ってしまったって感じ。
そんな時に、私は
「イヤなのは分かる。分かるけど、ほんの少しだけでも挑戦しようぜ」
と思ったのです。
その子だけではありません。
園児み~~んなに苦手がある。
ひだまりは、からだを育てることを大切にしているので
朝イチから 体操と呼ばれる筋トレもあるし
意地悪なことや 理不尽なことをすると
「お話し会」が開催され、自分の内面と向き合わざるをえない状況になります。
こんな小さな子にそこまで…と言われるけど
別に立派な、ご大層な答えを求めてるわけではありません。
自分の気持ち
自分の心を 確かめる
その練習を一緒にしているというわけです。
嫌いなこと
苦手なことは いっぱいある。
嫌いなこと 苦手なことがあるのは 悪いことじゃない。
でも、
カッコイイ自分
大きい自分になりたかったら
その嫌いに・苦手に挑戦するのがカッコイイんじゃない?
好きなこと得意なことをするのは当たり前なんだから、
それよか、苦手があっても挑戦する
嫌いなことでもやってみる 方が 何百倍もカッコイイじゃん。
ひだまりの園児たちは
その苦手に挑戦し続けるかっこいいこどもたちなのです。
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